波照間や竹富のことをまた、思い出す。
あの大きな空の下に流れるゆったりとした、濃厚な時間。
毎日、日の出と日の入りを眺める生活ができたらいいのに。
しっかりと「生活エリア」を共有する人との絆で結びついている島の人たち。
あの村に「引退」という言葉は存在しないのだろうな、というくらいお年寄りたちは
みんなよく動いていた。よく笑っていた。
都会のどこかで、一人年老いていく自分の姿を想像するとちょっと怖い。
そしてまた、竹富島の凜とした美しさを思い出す。
きれいに掃かれた白い砂の道を目前にしただけで、背筋がすっと伸びてしまう。
なんとなく、こちらにまでその「心持ち」が伝染してきて、仕草や物腰がいつもより丁寧になってしまうのだ。
あまりに美しいので、悪いものが入る隙間がないなあと思う。
まるで昔話の中のような、竹富島。
あの島が今の日本にあるということは、やっぱりすごい奇跡。