露天風呂につかっていると、手の届くところに巨大なつららが。
他に人もいなかったから、迷いもなく湯船から出て、
すたすたと軒下まで歩いて、ボキっとつららを折った。
長さ60センチはあろうかという、立派なもの。
刀を手に入れたガキ大将のような、無敵!な気分になり、
得意げに湯船に戻った。
美しいつららを手にしたまま湯船につかっていると、
ふと、つららもお湯に入れてみたくなってきた。
(誰もいないし・・)
とっさにつららを湯に入れてみると・・・。まあ不思議。
熱い湯船なのに、つららを握りしめているところだけが冷たいじゃないの!
熱いのに冷たい! アツイのにツメタイ!! あついのにつめたい!!!
当たり前だけど、このアンビバレンスな感覚(?)に、ちょっと興奮。
しつこく”刀”を湯に出したり入れたりしていると(アブない人だなあ)、
水面に接触しているところからどんどん細くなってくる。
その姿を見ていると、無性に悲しくなってきて、
まるで生き物を殺しているような、悪いことをしている気分。
いたたまれなくなって、まだ”生きている”うちに、
いそいそと湯船から出て、もとあった辺りの雪の上に”移植”した。
「熱いのに冷たい!」
なんか、新鮮な感覚だったのよね。