風が強い。
サトウキビ畑より高い建物があまりない
この島は、きっと海の上を渡る風の通り道。
いつも、海からの風が吹いていて、
耳をすませると、サトウキビ畑から聞こえてくる
ざわざわとした音しか聞こえない。
日が暮れて、建物から外へ出た瞬間、びっくりした。
一歩玄関から外へでると、
そこには、どこまでも続く広大な闇。
まるで、玄関からその先は夜の海原が広がっているよう。
昼間、太陽の光が穂先に当たって、キラキラと波のように
ゆれるサトウキビ畑の海は、日が暮れると、まさに
夜の海のように真っ暗だった。
サトウキビ畑が広がる道を歩いていると、
一体ここはどこ? という気分になる。
まるで、キューバの田舎のような。
インドネシアの山村のような。
どこでもないような。