打ち合わせ。
南米のクスコに住んでいるT氏。
彼はペルーアマゾンの森に30年くらい通い詰めている。
森の話、生物のバランスの話、ジャングルを支配する不思議な力の話をする。
結局、本能の力ほど信じられるものはないのかも。
「愛はこの世で唯一、理性的な行為である」というゲーテの言葉をときおり思い出す。
帰りの電車で、桐野夏生「メタボラ」を読み始めると、いきなり冒頭はジャングルの暗闇だった。思わず先ほどのT氏とおしゃべりをしていた時間がそのままつながってくる。
「メタボラ」の舞台は沖縄。あの南国のじっとりとした、体中の細胞を目覚めさせる湿気が本を開けてから体にまとわりついている。明るい南国の裏にある、暗くじっとりとした湿気。