昭和24年発行の猪谷六合雄さん著「雪に生きる」が手に入った。
今にもばらけてしまいそうな、茶色に変色した瀕死の本をそっと開けてみると・・・
苦手な旧漢字と、古い言葉遣いなんてまったく気にならないほど、本当に面白くてついつい没頭してしまった。(まだ4分の1くらいですが。)
これは猪谷さん自身が書いたエッセイだけど、こんな面白い文を書いていた人だったなんて・・・! 彼の素直さが嫌味なくストレートに伝わってきて、必死に、それでも楽しみながら毎日を送る日常が垣間見え、思わず笑ってしまう箇所も多い。
そして、きっと彼の大切にしてきたものなのだろうけど、「朗らか」という言葉がよく出てくる。
「朗らか」
私はなんだか随分耳にしていなかった言葉だけれども、あっ・・・と思った。
なんだか素敵な言葉。
明るいだけでなく、心が落ち着いていて満たされた優しさ、ぬくもりを感じさせる響き。
そういう日本語もあったんだよな、と思う。
そしてきっと、猪谷さん自身がまさに「朗らか」な人だったのだろうな、と思わせる本。
こんな人もいたのですね。