雪が降った!
大興奮。
しんしんと降る雪。
時間も、しんしんと、留まることなく流れていくのだなあ・・・。
ふと雪の結晶を思い出し、マフラについた雪の、この一つ一つが
あんな美しい形を隠し持っているのかと思うと、
途方もない宇宙のようなものを感じて、なんてすごい世界に生きているのかしら、
と思う。ポカンとするような、鳥肌が立つような、ちょっとぞっとするような。
昼休み、いつもは絶対に入らないようなへんてこな喫茶店に入る。
昔のカラオケバーを喫茶店として使っているような店。
(カラオケセットがおいてある。)
珈琲とクロワッサンサンド(世界一まずいクロワッサンサンドだった。
どうしてこんなにまずく作れるのか不思議。)をほおばっていると、
店内にすでにいた男性と待ち合わせをしていたらしき男が入ってくる。
その瞬間「この人、どこかで会った!」と思う。
でもどこで会ったのがまったく思い出せない。
お陰で、「どこでこの人を知ったのだろう」という疑問で頭がいっぱいになり、
食べ物に全然集中できない。
思い出せそうで、思い出せない!あー、気持ち悪い。
あまりに気持ち悪いので、意を決して帰り際に声をかけた。
「あの、どこかでお会いしていますよね?」
「そうですよね・・・なんか僕ももしかしてと思っていたのだけど。」
やっぱり!
お互い、共通のキーワードになりそうな単語を2,3挙げ、
記憶の断片をつなげていくと、なんと3年ほど前キューバで会った人だった。
あー、すっきり。
こうやって、たまにひょっこりと人生が交錯する偶然は、
なんだか嬉しい。
今回、偶然再会したからといって、何があるわけでもなく、
連絡先の交換をするわけでもないが、なんだか嬉しい。
「あのとき、こうだったよね、いまはどうしているの?」と話すだけだけれど、
外国で出会った旅人と、他の国でまた偶然出会ったような、
ほどよくやさしい親近感がなんだか嬉しい。
そいういことがあったから、まずいクロワッサンサンドも許しちゃうのだ。