緑の海を泳ぐ。
まるで、深い深い木々の海の底を漂っているみたい。
夢の中だったら、空気をぐっぐっとかきわけて、
上の方へゆっくり浮いていくのに。
緑の、蒼い匂い。
「生」が強い。
いい匂いのような、あまりになまなまし過ぎて、
少しドキっとするような蒼い匂い。
何もないような空中には、いろいろなものが漂っていて、
本を開いていると、ページの上にぽたっといろいろなものが
落ちてきたり、張り付いてきたり。
顔の前や、ジャケットのボタンのところにブンブン虫が飛んできたり。
遊んでいるのか、からかっているのか、何かを狙っているのか。
よくわからないけれど、そこらへんに漂っている「なにか」と
交差していると、少し安心する。
足下をみると、蟻の巣の入り口があっちにも、こっちにも。
木々の根っこも、その氷山の一角をところどころ地上に姿を現す。
もしや、地面の中の世界ってすごいことになっているのでは。
ひとり想像して、ドキドキする。