先日、一足早く観る機会のあった映画「歩いても、歩いても」。
どうせ、淡々とした何も起こらないホームドラマなんだろうな、
と思って期待せずに観たのだけれど、冒頭の1,2分ですっかり
映画に引き込まれてしまった。
確かに何が起こるというわけではないのだけれど、
すべてが懐かしくて、切なくて、あまりにもリアル。
一番身近な家族だからこそ、大切な話はあまりしないで
やり過ごしてしまう微妙な距離感とか、女性のおおらかさと怖さとか、
男性の子どもっぽさとか。
そして毎日繰り返される、当たり前の日常と隣り合わせにある死。
人間は、いつまでもここに当たり前のようにいるわけではない、
人間は、必ずいなくなってしまうものだ、ということ。
だから、観ているあいだずっと懐かしくて、切ない気持ちだった。
今でも、 ふと映画のシーンが頭にぽっと浮かんでは、また消えていく。
そんなことが繰り返されて、ゆっくりゆっくり私の中に
映画の世界がじんわりと、浸透してくる。
この映画、好きだな、と思いました。