台風が来るとのことだったので、ずっと行こうと思っていたアンリ・カルティエ・ブレッソンの展覧会へ足を運ぶ。
案の定、人はまばらでゆったりと一枚一枚見ることができた。
それにしても。
こんなに様々な人間が、様々な場所で、喜びとか、悲嘆とか、絶望とか、愛とか
おかしみとか、希望のようなものとか、そういったあらゆる感情を抱えてきたことを
思う。人類誕生から、何万年といった間、人間の数だけいろいろな思いが生まれては消え、積み重なってきたことを思うと、その途方もなさに愕然とする。
そして私も、彼らのごとく、毎日嬉しかったり、落ち込んだり、さみしかったり、揺れ動きながら、彼らの延長線上に生きている。
これってなんなのかしら、と写真をみながらなんだか不思議な気持ちになる。
外へ出ると、台風のはずが雲間から青空。
展覧会がとっても楽しかったからか、うきうきして歩き出したら
うっかり傘を置き忘れてきた。(かれこれ10年以上使用している傘なので、いつか取りにも戻らなくては。)
台風が来ないようだったので、その勢いでペドロ・アルモドバルの最新作「VOLVER」を観にそのまま映画館へ飛ぶ。
こちらは、コテコテのスペイン。
色彩までもがあまりに南部のコテコテスペインで、実はちょっと気持ち悪くなりして・・・。
結局、夜までずっと脳裏に残っていたのはブレッソンの方でした。
今日の勝負、ブレッソンの勝ち。